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店内の名脇役たち

2026.02.03

我が家のダイニングにはひと棹の加賀水屋箪笥があります。「加賀」という名前の通り、石川県を産地とするスタイルの水屋(台所)で使う箪笥なのでしょう。漆のベンガラ色がとても素敵な水屋箪笥で、我が家に来てから既に25年ほどになります。写真をご覧いただけるとお分かりになると思いますが、北欧の照明やBOSEのオーディオなど、現在のモノとの相性も良い、インテリアの優等生です。ただひとつ問題があって、それは冬になると戸が開かなくなること。

もともと冬は天候不順で雨や雪が多いのが裏日本。冬季に晴天が続き空気が乾燥する表日本とは対照的です。そんな石川県からやってきた無垢材で出来た箪笥ですから、関東の冬の乾燥した空気に晒されると反るわ歪むわ…購入当初は加湿器で湿度を調整していたのですが、最近の異常な空気の乾燥状態には太刀打ちできず、今はもう自然に任せるまま。そのせいで、「戸が開かなくなる」のですが、幸い、「割れる」までは変形していないし、春になれば元に戻るので取り合えず目を瞑っています。

さて、そんな我が家の水屋箪笥と同様に、てんぐーとの店内にはインテリアの要となる古家具が3台あります。一つはちょっと小ぶりの加賀水屋箪笥。本来は二段に重ねて使うものなのですが、下段に天板をつけて別々に並べて展示用に利用しています。あまり市場では見かけない小ぶりなサイズの水屋箪笥です。

次にご紹介するのは、店内に入って右側にある大きなガラス棚。構造の基本となる支柱に施された連続する菱形の文様やダイヤガラスがはめ込まれた上の部分、イチョウの透かし文様の装飾が印象的なガラス棚です。お気付きの方もいらっしゃると思いますが、向かって右上の装飾部分が大きく欠けているのが分かります。オーディオを乗せた最上部も構造がむき出しのまま。多分、この家具はもともと作り付けの家具で、右の欠損した所がちょうど柱に当たる部分、そして最上部は壁に埋まっていたのでしょう。ちょっと大正ロマンを感じさせるノスタルジックな雰囲気が、お店のフレンチモダンなイメージをうまく中和してくれています。

そして三つめが大きな鏡の下に置かれたやや小さめなガラス棚。開店にあたり新たに購入したものなのですが、お店に搬入された時には埃をはらっただけの使い古した医療用のガラス棚(だから、扉を開けるとちょっと医薬品臭いです)でした。それをきれいに掃除しワックスをかけて磨き上げて、今の姿に仕上げました。よく観察すると色々なところに丁寧な仕事が見られます。今の家具にはない細工がさり気なく施された佳品です。純粋な和家具なのですが、医療用ということもあってか、モダンで洗練された-でも、どことない和家具的な垢抜けなさが、かえって温かな魅力になっています。

どちらかというと白が基調ですっきりと軽いイメージの店内の雰囲気をキリッと引き締めて、面白い空間づくりに貢献している3台の古家具たち。ご来店の際にはぜひ、実際に触れてみてください。古家具の魅力を十分に感じていただける名脇役たちです。