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レトロとモダンの共演

2025.06.18

梅雨入りして、暫くはそれらしいお天気でしたが、昨日からは夏が到来したような蒸し暑さ。天気予報では、「梅雨の中休み。梅雨明けは7月中旬」とのことですが、「随分と早い”中休み”だなぁ…」と、どうでもよいような事をぼんやりと考えながら、このブログを書いています。

自宅での私の作業スペースは、主に1階のリビングになります。そこの一番奥まったところに置かれた机で、ノートパソコンに向かいながらブログを書いたり、ホームページをいじったりしています。仕事に疲れて画面から目を外すと正面に、古い建具で仕切られた和室と、それとは対照的な透明なガラスで仕切られた玄関が見えます。実はこの玄関とリビングを仕切るガラス部分に、古い腐食技法を用いた模様が施された摺りガラスを入れることを考えていました。そのことを我が家の設計を担当されたカール・ベンクスさんにお話ししたところ、あっけなく却下。でも確かに出来上がってみると、”古民家移築”という骨董の塊みたいなところにすっきりとした透明なガラスは、とてもモダンで全体を引き締めてくれています。

そう言えば骨董に興味を持ち始めた頃は、「古民家を移築して、そこに古い和ダンスを置いて、古伊万里を飾って」みたいなコテコテの和骨董ワールドを夢見ていました。しかし、少しずつそれが私のイメージにしっくりこなくなる、「なんとなくあか抜けないな」と。そんなときに出会ったのが北欧家具でした。日本人の感性にも近い木の文化とモダンなデザイン。これが意外にも日本の古い家具と相性が良い。

例えば、いかにも和家具の典型である水屋箪笥の前に置かれたSvend Aage Madsenのデスク。どちらも個性の強い家具ですが、同じ空間にあって全く違和感がない。

これは家具だけに限ったことではありません。同じく、加賀水屋箪笥とその前に吊り下げたSvend Middelboeデザインの照明、「Velona(ヴェローナ)」との組み合わせ。以前ここには、オールドノリタケの柿の実の柄の電笠を使っていました。それはそれで、きれいにマッチしていたのですが、なんとなく物足りない。そこで登場したのが「Velona」。それも直径48㎝のヴィンテージ。かなり大柄な照明だったので、「悪目立ちするかな…」とも思ったのですが、こちらもなかなか面白い空間を演出しています。

いかがでしょう、どちらも「レトロなものとモダンなものとのコラボレーション」と言えそうです。この両者の組み合わせが、それぞれの良さと意外な面白さを引き出してくれるのです。時々、「外国人は日本の骨董を上手にデコレーションしている」という話を耳にしますが、これも日本の古いものと西洋のモダンな空間との相性の良さを表しているでしょう。そういった意味で、もっともっと現代の暮らしの中にこそ、骨董やビンテージを気軽に取り入れて欲しいな、と思っています。

ところで写真を見て、加賀水屋箪笥の上にBOSEのコンポーネントが置かれていることに気がつかれましたか。古い家具と現代のクールな機器との相性も、実はとても良いんですよ。是非、インテリアを考えるときのひとつのヒントになさってみてください。

それでは、これからが高温多湿な日本の梅雨、そして、それに続く酷暑の夏。皆様、水分補給を忘れずに、お身体、大切になさってください。