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『好き』だけで仕入れたコたち

2024.09.12

9月も半ばになったというのに、相変わらずの暑さに辟易する毎日です。テレビの天気予報では、とうとう「猛残暑」という言葉も使われるようになり、「新しい言葉だなぁ」と面白がったり、がっかりしたり…それでも”暑さ寒さも彼岸まで”の慣用句の通り、例年9月下旬には暑さも和らぎます。もう少しの辛抱…だといいですね。

ところで、仕入れをしていると、妙に心惹かれるお品に出会うことがしばしばあります。そんなコたちの中には、出自の根拠となる窯印や刻印もなく、ネットの検索にも引っかからない、全く良くわからないお品なのに、どうしても連れて帰りたくなる、そんなコたちたちもいます。

例えば、白地に二人の子どもといくつかのおもちゃが描かれたこの中皿。今でこそ、窯印や絵柄から、どうやらドイツのVEB Steingutfabrik Torgau製であることが分かっていますが、仕入れの現場ではそこまで辿りつけませんでした。

皿全体に貫入が入っており、実用品としての価値はあまりないのですが、とにかくこの絵柄を見てください。まず見込みに描かれた二人の子ども達。女の子はまぁ良しとして、男の子は…ナンデこんなに老けてるのッ!南海キャンディーズの山ちゃんにしか見えないのは私だけですか…女の子の膝の上のお人形も、なんか憎たらしいし、山ちゃんの足元のアヒルはすっとぼけているし、極めつけは山ちゃんの持つ黒板に書かれた絵の絶妙な乱雑さ。もう、細部に至るまで、この世界を描き切るデザインに、心はすっかり鷲掴みにされてしまいました。

更に縁の絵柄に目を移すと、やけに眉毛の濃い熊と、垂れ目でニヤけているブチ犬。唯一、素直に可愛らしいはずの黄色と青のお花までがコミカルに見えてくるから困ったものです。

デザインとお皿の大きさのバランスが良く、縁に回されたルージュの線が全体を引き締めているので、こんなデザインでも子供っぽくならないところも魅力の一つ。この「キモカワイイ」お皿は、何者なのかも分からないのに、見た瞬間に「連れ帰って、絶対お客様に紹介しなければ!」という義務感に包まれたひと品です。

例えば、この猫。商品説明にも書きましたが、このクリっとした目と表情を見た瞬間に仕入れ決定。勿論、作りや絵付け、状態も非常に良かったことも決め手となりました。ただ、窯印もサインも何もない。だから、仕入れの段階でも、そして今でも、この猫がいったい何者なのか、さっぱりわからない。それでも、この可愛さに完全KOされてしまったひと品です。

この様に、私たちの仕入れは営業的な観点の枠からはみ出したところで暴走することもしばしば。でも、こんな風に自分の『好き』だけで仕入れたコたちの魅力に気が付いてくださるお客様もきっといるはず。そう思いながら、毎日、愛おしく眺めています。

話は変わって、9月14日(土)にはお花のワークショップと音楽イベントが予定されています。その関係で、通常の営業が14:00(オーダーストップは13:00)までとなりますのでご注意くださいませ。猛残暑でも暑さに負けず、皆様のご来店、心を込めてお待ちしています!